Story
丹後の久美浜。農薬や化学肥料は一切使用せず、蟹殻を堆肥にした土と市野々の山から湧き出た清水で手間暇かけて育てられた自然栽培米イセヒカリ。種籾はお伊勢さんからいただきました。集落の最上流に位置する棚田は「昔から誰が作っても美味しいお米がとれる」と村の方がいいます。一年にわずか六俵しかとれない貴重なお米に感謝しながら醸します。
つくりは白杉酒造さん。和久傳の由来、和久屋傳右衛門の名にちなみ二種の酵母をつかって醸してくださいました。安永五年(1777年)に創業し、11代に渡って丹後で酒造りをされてきました。「お米らしいお酒」を目指し、食用米を用いる数少ない酒蔵は、超硬質米であるイセヒカリを大吟醸と同じ手間暇をかけて上手に仕込んでくださいます。今年からは無濾過生原酒となり、お米本来の味、刻々と変化する生きたお酒をお届けします。
A sake crafted with two kinds of yeast by the Shirasugi Brewery, in memory of our founder Denemon Wakuya. It begins as rice seeds from Ise Shrine, which we grow into our Isehikari rice in rice paddies in Tango's Kumihama Bay. Our farmers do not use any pesticides or chemical fertilizers, and instead, they take the time and care to cultivate the rice naturally using a soil of composted crab shells and natural spring water from the Ichinono mountains.
history
和久傳のふるさと。京都府の北部、京丹後は日本海をのぞむのどかな里山です。日本書紀にも記されるほど歴史は古く、江戸時代以降は、日本最大の絹織物「丹後ちりめん」の産地として栄えました。
創業は明治3年、初代の和久屋傳右衛門が興した旅館にさかのぼります。和久屋はもともと若狭の廻船問屋でした。峰山藩にお仕えするため丹後にうつり、交易地として賑わう彼の地で、当時まだ珍しかった木造三階建の宿を建てました。
京丹後から東山麓の高台寺に移転し、「料亭」和久傳が誕生したのは、昭和57年のこと。ちりめん産業が元気をなくし、京丹後での進退をかけて活路を求めていた和久傳は、名工 中村外二氏が建てた数寄屋建築と出会います。元は尾上流家元の住まい、隅々まで行き届いた名工の普請に後押しされるかのように、都での再出発を決めました。こうして生まれた「高台寺 和久傳」から、次なる章を開いたのです。